

日本における漢方原料の生薬の供給はほとんどが外国、特に中国に頼ってきている。
最近になって中国側の甘草と麻黄の輸出規制が持ち上がり、生薬の需給に問題が起きてきている。
甘草はまだ輸出禁止にはなっていないが、中国西北部の環境破壊の原因として甘草の乱獲が取り上げられ、数々の規制の政策がとられてきている。
@輸出総量規制
A輸出港の限定により、無許可輸出の防止
B輸出許可料の値上げ
C生産地の管理と規制で乱獲防止
中国がWHOに加盟することにより、貿易に関して規制をかけることはむずかしくなってきてはいるが、こと自然保護となればさらに厳しくなることが想像される。中国の甘草輸出総量は約5500トンでその内約60%が日本になっている。日本での甘草総輸入量の約80%が中国となっている。
麻黄も正式な書類では自然保護を理由にしている。しかし麻黄の採取は甘草に比べ少なく、地上部の採取で甘草のように根からとることはないのでそれだけの理由とは考えられない。麻黄由来のエフェドリンがアメリカのダイエット食品として使われていて特に過激な運動とともに使われ多数の死者をだしている。世界的にエフェドリンが問題となり、その原料生産国への風当たりに配慮したとの見解がある。日本での輸入は300トン前後となっている。生薬麻黄は全面輸出禁止で現状では正式輸入はできない。現在流通している麻黄は香港経由の未許可品で、今後規制が厳しくなると予想されている。
解決策としては、@自然破壊防止のために現地での栽培 A輸入からの脱皮として国内栽培 B一国に頼らない輸入が考えられるがそれそけれに問題を含んでいる。
現地栽培については、野生品と比べ品質が劣る可能性がある。栽培品種の改良と栽培方法の確立のためにも、有効成分の基準の再検討が必要となつてきている。またそれを基にして局方のハーモニゼイション(国際化)が叫ばれている。栽培者・輸入業者をなやます問題に、最終段階までいって、成分含量検査に不合格で、はねられるというリスクがある。検査を栽培地で簡単にできる方法が期待され、実験室段階でキットが完成している。現地にそれらを実現するために官民一体の支援・教育活動が必要となる。
内国栽培は、国民一人あたりの所得の上昇と円高(1ドル=360円⇒120円)との影響で、下がってきている。
日本では東京オリンピックのころに、一人あたりの収入が50ドルを超え、このころから農業生産が変わってきている。隣韓国でも同様のことが起きており、最近は韓国からの生薬輸入は減少してきている。現在日本から外国に輸出されている生薬は人参ぐらいになっている。生薬で国内だけの生産でまかなっているものにセンキュウがある。これは局方が日本産を規定していることによる。またブームに左右されやすく、ウコンの生産はそれに相当する。オウゴン、白朮は栽培技術の確立によって国内生産がされた例になる。生薬価格の面で、人件費の高いものは姿をけしている。これに対応するためには、生産技術の改良による収穫率の増加、機械化による手間のかからない方法が考えられなくてはならなくなってきている。命に関する医薬品原料を生産しているのだという精神面だけでは解決できないと思われる。
一カ国に頼らないで いろいろの国から輸入をすれば甘草・麻黄のような緊急な状態を回避でき
る。輸入が止まる理由もさまざまで今後どの生薬で起こるか予測ができない。以前に中国が水害で半夏の輸入がストップしたことがあったが、その理由は水害の普及のため半夏を収穫する人手が確保できなかったためだと後でわかった。
甘草は中国以外ではアフガニスタン・ロシア・オーストラリアからの輸入実績がある。麻黄は中国に完全に依存している。今後新しい産地・栽培地を探索してゆかねばならない。実際に安定した輸入とするためにはその国の内情が安定している必要がある。
漢方・生薬製剤の現状
平成11年の統計
医薬品総生産額 62,900億円
生薬漢方製剤 1,124 1.79%
医療用医薬品総額 54,382
医療用生薬漢方 878 1.61%
一般医薬品総額 8,519
一般生薬漢方 246 2.89%
生薬漢方製剤にはドリンク剤の生薬は含まれていない
10億円以上の生産品目
1.小柴胡湯 11八味丸
2.補中益気湯 12柴朴湯
3.柴苓湯 13桂枝茯苓丸
4.加味逍遙散 14六君子湯
5.大建中湯 15釣藤散
6.麦門冬湯 16十全大補湯
7.小青竜湯 17柴胡桂枝湯
8.牛車腎気丸 18猪苓湯
9.当帰芍薬散 19芍薬甘草湯
10葛根湯 20人参養栄湯
21大柴胡湯
21品目で73.6%を占めている