漢方煎じ薬の保険調剤は、調剤料に日数・処方生薬数を勘案するように要望していましたが、前回の改正でそれらに関係がない金額(1200円)だけなってしまいました。調剤料に加算される分包化加算の場合、8日で1940円になりますので、煎じ薬が不当に低く評価されているわけです。この問題で東京文京区の高島堂の雨宮先生が「煎薬を保険調剤できる薬局の会」をつくり、呼びかけを開始しました。【高島堂薬局FAX-03−3815-9951】10月 10日11日に日本薬剤師会大会が青森で開催されました。そこのポスターセッションでこの問題を発表しています。以下要旨集よりコピーしました。
P-118 「湯薬」の調剤料に日数倍制を無くしたことの問題点と今後への提言
束京都煎薬を保険調剤できる薬局の会
○雨宮昌男 堀真道 中野茂
{1.はじめに}
「剤」の観念や「日数倍制」による調剤報酬の算定は問題点もあるとして改善が検討されてきた。そして今般4月の改訂では、その手はじめとして漢方の湯薬と浸煎薬の調剤料が調剤日数に関係なく120点と定められた。1日分も50日分も調剤報酬は同じになった。
ところが刻み生薬を配合する漢方処方の調剤は調剤日数にほぼ比例して手間を要する。しかも最近は調剤日数の長期化傾向が著しい。
結果として今般の改訂により湯薬や浸煎薬は従来にも増して調剤報酬が調剤コストをカバーできない状況を拡大することになった。
実際に刻み生薬の調剤時間を計ると、処方構成生薬の計量、配合(又は混合分包)、薬袋の記入、袋詰など、1日分30秒弱を日数倍した時間がかかる。この他に受付、処方内容のチェック、保険点数の計算、薬歴簿記入、服薬指導や場合によっては疑義照会など、他の剤形調剤と共通する手間を要する。
{2.最大の問題点は漢方医療の危機}
今般の生薬調剤技術料の新設は、趣旨としては歓迎すべきかもしれないが、実質は大幅な調剤技術料の減額である。同時に生薬薬価も大幅に引き下げられた。調剤コストをカバー出来ない調剤技術料に加えて、薬価の切り下げが生薬の安定供給を損なうとの指摘もある中で、このままでは今後煎薬による保険調剤が成り立って行かなくなる。これは今般の改訂における最大の問題点である。医師を中心とした日本東洋医学会も、日本の医療文化である漢方医療の危機としてとらえはじめている。
{3.今後への提言}
煎薬こよる治療は漢方治療の基本である。また高齢化社会に於ける医療費の膨張を考えると、日本の医療文化である漢方医療は予防や養生と一体となった医療であり、西洋医学と相互に補完しながら、今後社会経済的に医療費の削減に大いに貢献することが期待される。このような視点からも、漢方医学の適正な普及のために、生薬に係わる調剤技術を適正に評価する課題はこれからの国民医療にとって極めて重要である。平成18年度の報酬改訂までに、この課題を実現すべく日本薬剤師会挙げて、関係組織とも連携協力して、厚生労働省や関係機関への働きかけを強化することを提言したい。