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日漢協通信16年12月号より

       日本漢方協会 副会長  三上正利

                                     

 厚生労働省は平成15年4月より「健康食品に係る制度のあり方に関する検討会」わ開いてきた。それが今年の6月に提言として示された。16年11月19日に、その具体が示され、パブリックコメントとして公開し広く意見を求めている。一般用医薬品としての生薬製剤(ハーブも含む)の審査のあり方に関する検討会(斉藤洋座長)の検討会が開かれないまま食品のほうが先行してしまった。今後は一般用医薬品の占める部分の制度化を進めるべきであろう。以下、パブリックコメントに出された内容を示す。
「「健康食品」に係る今後の制度のあり方について(提言)」の実施について
本年6月に、「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会において出された「「健康食品に係る今後の制度のあり方について(提言)」(以下「提言」という。)について、以下の具体的内容にて実施する予定である。
1.表示内容の充実−特定保健用食品制度の見直し
現行の特定保健用食品の審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性が確認される食品を条件付きで特定保健用食品として許可する
【条件付き特定保健用食品(仮称)】
<科学的根拠について>
               現行の特定保健用食品に比べ、@作用機序、A有効性を確認する試験の方法、の2方向から審査基準を緩和し、条件付き特定保健用食品(仮称)とする。
 
A試験 無作為化比較試験(RCT) 非無作為化比較試験
@作用機序 有意水準5%以下 有意水準5%〜10%以下
明確 現行特定保健用食品 条件付特定保健用食品 条件付特定保健用食品
不明確 条件付特定保健用食品 条件付特定保健用食品 ×


割付については、一時に多数の対象者を得られない場合もあると考えられるため、非逐次実験法だけでなく、逐次実験法も許容される。なお、割付の開鍵は、全ての試験を終了した後に行うことが必要である。

非無作為化比較試験であっても、当該申請食品摂取群とプラセボ食品摂取群との間で、性、年齢、指標等の比較性がある程度担保されなければならない。
試験の質の担保、安全性についてのヒト試験等については、現行通り求める。
<表示について>
許可表示は「○○を含んでおり、根拠は必ずしも確立されていませんが、△△に適していることが示唆されている食品です。」とし、条件付きの4類型(上表の4つの陰部分)ごとに分けることとはしない。
許可マークは現行と同じ図柄を用い、文字にて
「条件付き特定保健用食品(仮称)」と表示させる。
特定保健用食品としての許可実績が十分である等科学的根拠が蓄積されており、事務局審査が可能な食品について規格基準を定め、審議会の個別審査なく許可する【規格基準型特定保健用食品】
<考え方>
既許可の特定保健用食品のうち、以下のスクリーニング基準を満たすものについて、順次研究班で規格基準の作成を検討していくこととする。
@保健の用途ごとに分類したグループにおける許可件数(「おなかの調子を整える」「血圧が高めの方に」等)が100件を超えている
A関与成分の最初の許可から6年を経過している
B複数の企業が当該保健の用途を持つ当該関与成分について許可を取得している(ただし、臨床試験を含む試験・成績の共有等にあっては、一企業として取り扱うこととする)
今回、@〜Bの全てを満たし、研究班において現在、規格基準の作成を検討している関与成分は、保健の用途として「おなかの調子を整える」旨の表示をする以下の10成分である。現在、研究班において規格基準を作成しているところである。
難消化性デキストリン・ポリデキストロース・小麦ふすま・グァーガム分解物・大豆オリゴ糖・フラクトオリゴ糖・乳果オリゴ糖・ガラクトオリゴ糖・キシロオリゴ糖・イソマルトオリゴ糖
規格基準の設定に当たっては、類似した関与成分をグループ化し、そのグループ内にある関与成分を含むことにより既に許可されている食品の形態であれば、ある関与成分が当該食品形態において許可されていなくても、当該食品形態での規格基準型特定保健用食品として認めることとする。今回、規格基準の作成を検討している「おなかの調子を整える」旨の表示をする関与成分については、食物繊維、オリゴ糖、生菌の3グループに分け、既許可の食品形態を整理することとする。
申請時においては、有効性については規格基準に適合していることをもって確認されるため現行求めている資料の提出は不要であるが、安全性についてのヒト試験は現行通り求めることとする。
なお、有効性、安全性について事務局で判断できないものについては、通常の個別審査を行う。
<表示について>
許可表示文言については、保健の用途をもたらす関与成分の効果ごとに基準を決め、その表示のみ認めることとする。
許可マークは現行と同じとする。
関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合、特定保健用食品の許可において表示を認める【疾病リスク低減表示】 
<考え方>
現時点において科学的根拠が医学的、栄養学的に広く認められ確立されており、特定保健用食品の許可対象として認める必要性があると考えられるものは、提言で指摘されている「カルシウムと骨粗鬆症」・「葉酸と神経管閉鎖障害」の2つである。
「医学的、栄養学的に広く認められているもの」の具体的内容については、以下の通り。
*国際的または国内において、複数の疫学的研究があること。疫学的研究については、試験デザイン、研究の質等から見て、十分な科学的根拠であると判断されるものであること。また、介入研究だけでなく、観察研究も存在すること。
*原則として、コクランデータベースに収載されている等、複数の疫学的研究をメタアナリシスした論文があること。例外となるのは、既に多くの諸外国において一致した公衆衛生政策がとられており、その根拠となる疫学的研究が共通していることが示された場合等が考えられる。
*当該関与成分と疾病の関係が、諸外国で疾病リスク低減表示の対象となっている場合は、その表示が限定的(条件付き)でないこと。
また、関与成分の疾病リスク低減効果を十分に示すことのほか、以下のような事項について、データを付した説明が必要である。
*日本国民の疾病の罹患状況等に照らして、当該疾病リスクについての注意喚起が必要であるか。
*注意喚起が必要である場合、一般的な勧告や食生活指針等による普及啓発では足りず、個々の食品に対する表示許可という形で行わなければならない合理性はあるか。
カルシウムと葉酸が、それぞれ表示する疾病リスク低減効果を発現できる量を、摂取量調査を踏まえ、特定保健用食品からの1日摂取目安量として以下の通りとする。
カルシウム/300〜700mg   

葉酸/400〜1000μg
カルシウム・葉酸以外の関与成分については、十分な科学的根拠を揃えた申請があった場合に、専門家による検討を行うこととする。
なお、特定保健用食品の考え方は、当該許可食品を通じた関与成分の積極的な摂取が健康の保持増進に寄与するというものである。一方、「低ナトリウムの食事は高血圧になるリスクを減らします」等、食品中のある成分の摂取量を直接減らすことによる効果の発現は、特定保健用食品の考え方とは発想が逆であり、諸外国では疾病リスク低減表示が認められている例もあるものの、特定保健用食品の制度にはなじまないものと考えられる。
<表示について>
               カルシウムについては、「この食品はカルシウムを豊富に含みます。日頃の運動と、適切な量のカルシウムを含む健康的な食事は若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆症になるリスクを低減するかもしれません。」とする。
               葉酸については、「この食品は葉酸を豊富に含みます。適切な量の葉酸を含む健康的な食事は、女性にとって、二分脊椎などの神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低減するかもしれません。」とする。
               また、疾病リスク低減効果のある関与成分を過剰摂取しても当該効果が増大するものではない旨の表示をすることとする。
               許可マークは現行と同じとする。
2.表示の適正化−特定保健用食品・栄養機能食品における表示規制の強化−
定保健用食品・栄養機能食品に「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の表示を義務づける
保健機能食品だけでなく、「いわゆる健康食品」についても、表示すべき旨通知する。
栄養機能食品制度の悪用を防ぐため、定義規定の見直し及び表示禁止規定の創設を行う
現行の定義規定では、栄養機能食品制度の趣旨を十分に表していないことから、栄養成分の補給を主たる目的として摂取する者に対する表示であることを明確にする。
消費者が、本来「栄養機能食品」と表示できない物質についての栄養機能食品であるかのように誤認するような表示を禁止する。
(例)
  ダイエット等の痩身効果を表示する場合(文字だけでなく図柄等を含む)他の物質の名称・機能等を容器包装の前面等において、より大きく表示している場合
栄養機能食品について、「栄養機能食品(栄養素○○)」という表示を義務づけ、食品中の他の成分・物質による機能表示ではないことを明らかにさせる
               「栄養機能食品・ビタミンC」等、栄養機能食品である旨の表示と栄養素名を併記することとする。
栄養機能食品の表示基準が定められていない残り8つのビタミン・ミネラルについて、栄養機能食品の対象成分となるかどうか検討する
現行では当該8栄養成分についての様々な表示が氾濫している点が問題視されたものの、これらについては国民栄養調査の摂取量調査が行われていない等の理由により、科学的根拠に基づく規格基準の設定が不可能である。
従って、今回は規格基準の作成は見送り、様々な表示が氾濫しているという問題点については、消費者への適正な情報提供を進めるため、(独)国立健康・栄養研究所の「健康食品の安全性・有効性データベース」を活用していくこととする。
3.安全性の確保−ガイドラインに従った自主管理の促進−
錠剤・カプセル状等食品の製造者等に対し、GMP(適正製造規範)導入のためのガイドライン・原材料の安全性確認のための自主点検ガイドラインを通知する
内容については、対象案件(2)及び(3)を参照のこと。
4.その他  
特定保健用食品の審査申請に当たってのヒト試験については、ヘルシンキ宣言の精神に則り、倫理審査委員会等の承認を得て行うこととしているが、平成17年4月からの「個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)」の本格的な施行に伴って「疫学研究に関する倫理指針(平成14年文部科学省・厚生労働省告示第2号)」が見直されること等も踏まえ、被験者の人権等、倫理面に配慮したヒト試験の実施について改めて周知する。
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「健康食品」の制度化について