10月11・12日に第37回日本薬剤師会学術大会が 青森市で開催されます。この通信で何回かに渡って お知らせした内容をまとめて 発表することにした。一般用医薬品としての漢方薬の大きな変化がおころうとしていると思われる。
A・「一般用医薬品承認審査合理化委員会」
平成14年11月「一般用医薬品承認審査合理化委員会」(座長:木下眞男東邦大学名誉教授)は『「セルフメディケイションにおける一般用医薬品のありかたについて」〜求められ、信頼され、安心して使用できる、一般用医薬品であるために〜』の中間報告を出した。まずセルフメディケイションを定義している。そしてセルフメディケイションでの薬剤師の役割を次のように求めている。
@適切な選択・使用法・保管法の相談
A使用時の安全性の確保
B個々に応じた使用可否と受診勧告
C使用後のフォローアップ
D市販後調査(PMS)
E使用実態調査(AUT)
F健康増進・疾病予防・療養環境の保全・健康教育の協力
この中間報告の中では、漢方薬・生薬・ハーブについて次のように提言していた。「漢方薬・生薬の活用」として「一般用漢方210処方の見直し」と「漢方的特有の効能効果(しばりの表現方法)」等が提言された。この中間報告を受けて、一般用漢方製剤を見直し、改訂の準備が行われようとしている。
B・一般用医薬品としての生薬製剤(西洋ハーブを含む)の審査のあり方に関する検討会
先の中間報告を受ける形で「一般用医薬品としての生薬製剤(西洋ハーブを含む)の審査のあり方に関する検討会」が座長:斎藤洋東大名誉教授で15年6月に開始した。
氾濫する健康食品と医薬品の関係のなかで、生薬製剤の承認(評価)について、海外の実態とを参考にして検討することを主旨としている。
生薬製剤に限らず、非医薬品の製品が医薬品よりも多量に摂取しているものがある(例えば、コエンザイムQ10では1カプセル30mgが流通しているのに対して、医薬品では10mgしか存在しない)。生薬でもメリロートのように成分量に製品間にばらつきがあったり、医薬品の効能効果とはかけ離れた効果を標榜し、表示が不適当などが指摘されている(国民生活センター)。これは医薬品の承認のハードルが高いことに起因している。民間薬・ハーブなど長い経験(ドイツでは30年)を有する物を公定書や規準書で規格化してもらうことを要望してゆきたい。
C・一般用漢方処方の見直しに資するための有用性評価(EBM確保)手法及び安全性確保に関する研究
国立医薬品食品衛生試験所の合田幸広生薬部長を主任研究員とする「一般用漢方処方の見直しに資するための有用性評価(EBM確保)手法及び安全性確保に関する研究」が15年7月に開始された。その中にいくつかの分担研究があり、平成15年度の報告書が出された。その中から薬局製剤・漢方に関係が深いものを示す。
a・一般用漢方処方の見直しを図るための調査研究
協力研究者
佐竹元吉(お茶の水女子大生活環境研究センター教授)
寺澤捷年(富山医科薬科大学副学長・病院長)
中田敬吾(医療法人聖光園細野診療所院長)
花輪嘉彦(北里研究所東洋医学研究所所長)
三上正利(日薬・薬局製剤漢方委員会・副委員長)
代田 修(国立医薬品食品研究所・生薬部・主任研究官)
中村高敏(国立医薬品食品研究所・生薬部)
糸数七重(国立医薬品食品研究所・生薬部)
本見直しは漢方医学・生薬学全体に影響を与えると考えられる。従って本研究では国民のニーズに答えるため、1・処方の選別2.処方内容の改正をうけ、東洋医学会・生薬学会・薬剤師会などの関係の深い研究者により疾病構造の変化等に対応した追加・削除に関し充分な議論をおこない、新210処方を作成する。さらに、しばり、効能効果、用法用量等、具体的な規準設定について、業界団体のメンバーを加えて最終的な見直し案を作成する。同時に従来の処方について、中間報告の主旨に従い、成分分量・用法用量・効能効果の変更を検討する。以上報告書より新210処方の候補は、現在の210に83が追加されたものになっている。
b・一般用漢方処方のパイロット使用実態調査研究AUR(Actual Use Research)
分担研究者 代田 修(国立医薬品食品研究所・生薬部・主任研究官)
協力研究者 荻原幸夫(名城大学薬学部臨床漢方治療学教室)
佐竹元吉(お茶の水女子大生活環境研究センター教授)
花輪嘉彦(北里研究所東洋医学研究所所長)
平井俊樹(日本薬剤師研修センター専務理事)
三上正利(日薬・薬局製剤漢方委員会・副委員長)
西川 徹(日本大衆薬工業協会役制委員会副委員長、薬制常任委員、スイッチOTC検討部会長)
北山日出男(日本大衆薬工業協会スイッチOTC検討部会副長)
大窪敏樹(日本漢方生薬製剤協会一般用製剤委員会委員長)
松本良三(日本漢方生薬製剤協会一般用製剤委員副会委員長)
中村高敏(国立医薬品食品研究所・生薬部)
糸数七重(国立医薬品食品研究所・生薬部)
自分自身の健康に強い関心を持つ国民が増加する傾向にあり、セルフメディケーションの考えがひろがりつつある中で、一般用医薬品のあり方等に関する再検討および国民の新たなニーズに対応し得る一般用医薬品の育成が必要とされている。特に漢方処方は、効能効果が比較的穏やかであることや、慢性疾患への長期的な使用を目的にするなど、その有用性の評価が困難であることがいわれ、長年の使用経験に基づいて承認されているが、これまでその有用性を評価する手法が示されていない。よって、薬剤師研修センター、日本漢方生薬製剤協会、日本大衆薬工業協会薬制委員会、大学関係者、薬局薬剤師の協力を得て、一般用漢方製剤の有用性評価の手法としての使用実態調査の確立を目指した。
以上報告書より
210処方の見直しのためにも、一般用漢方製剤の有用性の評価と安全性に対するデーターが要求されている。今回はその手法の確立のための「パイロット調査」となっている。今回の調査対象薬として長期の薬として加味逍遙散(小太郎漢方製薬のカミセーヌ180錠入り)と葛根湯(カネボウ株式会社の葛根湯エキス顆粒Sカネボウ12包)が選ばれ、加味逍遙散が20日間、葛根湯が4日間の連続服用で行われることになった。調査実施薬局・調査責任薬剤師・調査薬剤師が行うこととして、責任薬剤師に説明会を開いて開始される。加味逍遙散は6月から、葛根湯は9月より実施された(説明会の都合で実施薬局は東京近郊から選ばれた)。
C・一般用漢方処方の有用性評価のための実証的研究
分担研究者 能勢充彦(名古屋市立大学大学院 薬学研究科 生薬学分野講師)
アトピー性皮膚炎に消風散・温清飲・治頭瘡一方・黄連解毒湯・十味敗毒湯・当帰飲子・十全大補湯・補中益気湯で種種のマウスのアレルギーモデルを使いその作用機序を推定した。(第102回日本皮膚科学会総会で招待講演・第20回和漢医薬学会など発表)
d・生薬ブシの日本薬局方収載に向けたワーキンググループの取り組み
分担研究者 関田節子(国立医薬品食品衛生研究所筑波薬用植物栽培試験場)
ワーギンクグループメンバー 淵野 河原 佐竹 岡田 寺林 滝 川崎 藤田 近藤 武井 岡田 須藤 有本
協力研究者 木内 高橋 菊地
加工ブシが第2追補に収載される
ブシの局方規格が出来たことで、附子製剤規格が「別紙規格」から「日本薬局方」となり、製造承認が楽になると思われる。
D・日本薬局方との関係
a・生薬の局方収載
附子だけでなく、210処方に使われる生薬を局方に収載することで、医薬品の承認が楽になる。現在その方向で進んでいると聞いている。
局方にはその国で汎用されている薬は収載されるべきである。漢方製剤も収載さするということで作業が行われている。先ずエキス剤10品目を15局方に間に合わせるべく作業していると聞いている。一方では、日本薬局方外生薬規格の物を局方に収載すること。210処方の構成生薬の局方収載もされるとしている。
b・漢方処方の局方収載
スモン判決後の薬事法改正以降、局方から漢方処方はぬけてしまっていた。局方はその国の代表的な医薬品は網羅しているもので、次回の第15改訂に漢方処方を収載する動きがある。10処方位からで、ゆくゆくは50品目を収載してゆくと思われる。局方に載るということは、漢方薬(エキス剤)が認められたということで、画期的なことと思う。
E・おわりに
薬局製剤・漢方薬の処方の拡大を以前から言い続けてきた。しかし、製造品目の拡大には、「一般用漢方製剤の承認申請内規(210処方)」の範囲を超えられないと言う不文律があったようである。そこで事あるごとに、210処方の拡大を要望してきた。今回の、一般用漢方処方の見直しと局方に附子を初めとする構成生薬が収載されることで、今後、薬局製剤の漢方処方の拡大に結びつくと期待している。尚日本薬剤師会薬局製剤・漢方委員会(旧漢方委員会の時代より)の挙げていた、追加要望品目はすべて今回の候補に入っている。
Cで述べた「一般用医薬品としての生薬製剤(西洋ハーブを含む)の審査のあり方に関する検討会」は初会合しか開かれていないが、民間薬問題の糸口になる可能性を含んでいる。
【 以上の骨子を持ち時間8分間で口演することになっている
】