日本漢方協会編集の「実用漢方処方集(じほう社)の第二改訂版」が近々発行となります。今回の改定では以下のことに留意しました
@ 読者から寄せられた誤記の訂正。
A 漢方の学会などで話題となった処方の追加をしました。
B 下段に使用目標となる口訣や注意を増補しました。
C 処方名のひらがな表記は「厚生労働科学研究の漢方処方名ローマ字表記法」を優先しました。
D 全体の体裁や文体を統一するようにしました。
E 原典や文献引用の部分は手を加えないようにしたが、それらの文献の発行時の誤記が明らかな部分は訂正したところも有ります。
第二改訂版序
【漢方近年史が入っている】
本会は、1970年(昭和45年)に日本漢方協議会として発足し、この処方集は創立20周年を記念して、1989年(平成元年)に出版された。当時は若手の「処方集編集委員会」のメンバーも、今は当協会の要として活躍して頂いている.その間の漢方の発展は大きく、明治以来の悲願が達成した感がある.処方集が出来てからの変遷を列挙する。
1989年(平成元年)
●日本東洋医学会に漢方専門医制度ができ、東洋医学会の医師の会員が急増した.また 各地に漢方外来が新設されるようになった
1991年(平成3年)
●東洋医学会が日本医師会に加入した。
●漢方エキス再評価(黄連解毒湯・桂枝加芍薬湯・芍薬甘草湯・小柴胡湯・小青竜湯・大黄甘草湯・白虎加人参湯・六君子湯)開始。
1993年(平成5年)
●国立大学初の和漢診療学講座が富山医薬大に開設
●厚生省「薬局業務運営ガイドライン」(薬局=保険薬局としている)
1994年(平成6年)●小柴胡湯とインターフェロンの相互作用で間質性肺炎が問題となる。以後、副作用や漢方製剤と他薬との相互作用で添付文書の改訂が行われている
1995年(平成7)
●PL法の実施に伴い、添付文書が重要となる(例・妊婦への注意事項)
1997年(平成9年)●医療用漢方製剤の添付文書の注意事項に「本剤の使用にあたっては患者の証(体質・症状)を考慮して投与すること。……」が追記された.
●日本薬剤師会「薬局グランドデザイン」(基幹薬局を核とした地域分業)
1999年(平成11年)●一般用医薬品添付文書の記載要項、その後も添付文書の改訂は目まぐるしく行われている
2000年(平成12年)●「種の保存法」の改正により一部生薬の輸入に問題が生じたり、自然保護団体の抗議が起きた
2002年(平成14年)●「一般用医薬品承認合理化委員会」が「セルフメディケイションにおける一般用医薬品のありかたについて」の中間答申を出した。これにより一般用医薬品の評価方法の確立のためのAUR・生薬製剤(ハーブを含む)の承認審査の検討・漢方製剤(一般用漢方製剤承認申請内規・いわゆる210処方)のみなおしが着手された.また全ての内用漢方製剤に証にあたる「しばり」を設けることになった。
●薬科大学・薬学部の新設ラッシュ
2005年(平成17年)●医学教育のコアカリキュラムに漢方治療が入った
●製造承認制から製造販売制に変わった
●医薬品のリスク分類(三分類)で生薬・生薬製剤はBランク
2006年(平成18年)●薬科大学6年制導入
●薬学教育のコアカリキュラムに漢方薬が入った。また漢方を掲げる薬科大学も現れた.
●第15改正日本薬局方に漢方エキス剤が収載された
医薬品の流れは、物質(ハード)面からその使用法・使用上の注意等の情報(ソフト)面に重心が移ってきている。しかし、漢方に関しては そのソフト面が以前から重視され、個々の病人の対処が行われてきていた.この処方集はそれらの情報も集めたものであり、先見の明があったと自負している。皆様方の指摘・ご意見を頂き、より良い処方集に発展させたいと思っている.
尚 今回の改定に忙しい仕事の時間を割いて、仕事をしていただいた、三上副会長・小根山学術部長をはじめ日本漢方協会の学術委員ならびに編集社の山田真知子氏に感謝する。
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